槽掛けが全て終わり春の色の光が差し込む中で後片付けが始まった。
道具たちはこれから半年間の眠りに就くために洗い清められる。
搾れた酒も半年眠り目覚めの頃に蔵人達が戻ってくる。
米 水 人 それらの風土が一体となって酒が醸されていく
絵具は色を混ぜすぎると曇った色になってしまうが
酒は全てのものを吸収し透明なものにかえていく
醪から酒へと生まれ変わった瞬間だ
白く濁った雫は少しの時を経て黄金色の雫へとまた生まれかわる
雫は時を経るほどに黄昏色に変化しその味わいは海のごとく深いものとなる
積み重ねた袋に祈るようにそっと手を添える
流動性のある醪の袋を重ねていくこの作業は綱渡りをしているようなもので
そのバランス感覚は日々の作業のなかで鋭いほどに磨かれていく
水で育った米が酒と成るためにその水と再び出会う時が来た。
乾いた喉を潤すかのように米が水を吸い始める。
やがて米と水とが一体となり酒の味をかたち造っていく。